1.知事の後援会収支報告書虚偽記載問題について
担当部局: 総務企画部 答弁者: 知事

問:
 司法当局において早晩明らかにされると思うが,知事自身の関与の有無,また,県民の信頼回復に向けての決意を改めて伺う。

答:
 
12月9日,司法当局により,講演会の事務局長が政治資金収支報告書の虚偽記載の疑いで逮捕されたことは,非常に遺憾であります。
 このことにつきましては、私自身が関与した事実はございませんが、県民の皆様の政治不信を招いたことにつきまして,私自身,重く受け止めております。
 当面は,司法当局の操作の推移を見守らざるを得ないと存じますが,事実が判明した時点で,私から県民の皆様にご説明申し上げる所存でございます。
 今後,一日も早い県民の皆様の信頼回復に向けて,真摯に努力して参りたいと考えております。

2.指定管理者制度について (1)導入の効果について
担当部局: 総務企画部 答弁者: 知事

問:
 
今定例会に9件の指定管理者の指定に関する議案が提出されている。本県においては,既に19の施設に導入され,今次定例会分も合わせると,指定管理者制度を導入する34施設のうち,28施設,全体の80%を超える施設の指定管理者が決定したことになる。指定手続きについて,公募・公募外とある中で,民間参入の実績はどうかということ,経費の縮減による財政効果など,期待される指定管理者制度導入の効果について,現時点においてどのように捉えているのか伺う。

答:
 
指定管理者制度につきましては,競争原理を導入することにより,低コストで,より高いサービスを提供するという制度の趣旨を踏まえ,できるだけ幅広く,かつ早期にという考え方のもと,16年度から,積極的な導入を図っているところでございます。
 これまで,指定管理者を選定した28施設のうち,公募した施設は21施設でございますが,このうち4施設で民間事業者を選定いたしております。
 コスト面におきましては,新設の1施設を除く,27施設において,導入前の年間管理経費約28億7千万円が,提案額では約23億8千万円となっており,約4億9千万円,率にして17%の縮減効果が出ております。
 また,施設の運用面では,
 ・各種イベントの開催など,施設を活用した新たな事業の展
  開,
 ・利用者のニーズに対応した開設時間の延長,
などにより,サービスの向上が図られているところでございます。
 今後とも,提案のあった事業計画が着実に実施され制度導入の目的が実現できるよう,指定管理者との連携や指導に努めて参りたいと考えております。

 (2)県立総合体育館の指定管理者制度導入について
担当部局: 教育委員会 答弁者: 教育長

問: 
 
審査結果について,教育事業団の管理費用提案額が単年度で約1億5千万,民間提案者の最低額が約2億8千万円で,倍半分違う。提案書の収支計算書をみると,事業団の支出額は,前年度の決算に比べ約3千万円支出を圧縮し,年間約7億円となっている。民間事業者も,ほぼ同じぐらいである。民間並みに経費削減に取り組んだという意味では大変評価できる点だと思う。
 なぜ倍半分の差がでるのかという点については,単年度で利用料金収入が1億1千万円伸びる,さらに売店やスポーツ教室などのその他の収入でまた1億円近く収入が伸びるという計画がこれだけの差を生んでいる。前年度実績の3億5千万円の収入を5億5千万円にする,つまり売上を1.6倍にするという計画である。
 思惑通りにいかなかった場合,教育事業団はその分負担をしないといけない。委託先の民間企業にもリスク分担をしているということだが,前年度並みの利用者であれば,2億円の損失を与えることになる。教育事業団の年間予算は約11億円だから,これは経営に大きく影響を与える数字である。
 この目標を達成できるとする根拠と,リスクが生じた場合の教育事業団の責任について伺う。

答: 
 
県立総合体育館の指定管理者の選定に当たりましては,施設運営に関する具体的かつ詳細な情報を提供した上で公募し,応募4者の事業計画書について,「施設の効用発揮」「経費縮減」「安定的な管理運営能力」の観点から総合的に審査した結果,教育事業団を最も適した者として選定しているところであります。
 教育事業団の事業計画においては,利用料金制を活用し,周辺類似施設の利用実態も十分考慮した上で,利用者ニーズに応じた柔軟な利用料金の改定を行うことや,水曜日の開館などにより,増収を確保するものとなっております。
 また,その他の収入として,売店やスポーツ教室等の自主事業により,増収を確保するものとなっておりますが,その収入が計画通り確保できない場合は,教育事業団と外部委託業者との間で委託料を減額するなどのリスク分散措置が講じられているところであります。
 これらのことにより,教育事業団から提案があった業務実施計画や収支計画について,実現の可能性があると判断したところであり,教育事業団の責任ある執行により,総合体育館の適切な管理運営の実現と県民へのサービス向上が図られるものと考えております。
 仮に,収入が計画より下回った場合においても,教育事業団の自らの経営努力によって,対処することとなります。県教育委員会といたしましては,教育事業団の業務執行状況を把握しながら,適切な執行が確保されるよう指導して参ります。

3.広島港の整備について (1)港湾特別整備事業費特別会計について
担当部局: 土木建築部 答弁者: 空港港湾局長

問:
 港湾への投資は,岸壁など一部は国庫補助事業だが,その他のほとんどの整備は,港湾特別整備事業費特別会計で起債を財源に実施している。借金で行う事業だから,当然,返済が必要となる。
 この財源は,これらの港湾施設から得られる使用料収入を充当することとしており,このために特別会計を設置しているわけである。広島港においては,バブル期に計画した複数の大きな事業を一気に着手しており,この総事業費は4,848億円にもなる。
 このうち起債事業は2,440億円で,この借金を返済していくため,現状のまま推移するならば,平成18年度には,特別会計の剰余金や基金が枯渇し,資金ショートに陥ることが,平成15年度の包括外部監査で明らかにされている。
 そこでまず,平成18年度,この特別会計は大丈夫なのかということ,次に15年度の監査指摘を受けて何をしたのかということ,そして将来の見通しについて伺う。

答: 
 港湾特別整備事業費特別会計の収支改善につきましては,平成14年度に策定した「港湾特別会計健全化計画」及び平成15年度の包括外部監査の結果を踏まえ,各年度の投資額の平準化を図るため,事業別に長期的な収支計画を策定し,事業の休止や事業進度の調整などに取り組んでまいりました。
 また,港湾施設の利用促進を図るため,国際コンテナ貨物の集荷促進や,新規航路の誘致に積極的に取り組むとともに,分譲地の早期売却にも精力的に取り組んでいるところでございます。
 しかしながら,港湾特別会計は,今後,過去に借り入れた資金の償還ピークを迎えることから,港湾施設の耐用年数に見合った償還期間となるよう,償還額を平準化する新たな起債制度の創設について,現在,国と協議を進めるなど,償還資金の確保に努めているところであります。
 現段階では,これらの施策を着実に実施することにより,港湾特別会計の収支を均衡させることができるものと考えております。
 今後とも,港湾特別会計の適切な運営に努め,健全化に取り組んでまいります。

 (2)港の特性を活かしたまちづくりについて 
担当部局: 土木建築部 答弁者: 空港港湾局長

問: 
 県では既存施設を利用したにぎわいづくり,という新しい試みを積極的に行ってきた。広島港の旧旅客ターミナルへ韓国物産館を誘致したり,県5号上屋を広島市と共同で集客力のある商業施設に利用転換し,周辺環境を整備したりしている。
 大変評価できる試みだと思うが,実は当初計画である「ポートルネッサンス21事業」というのは,もっと大風呂敷である。
 この事業では,宇品内港地区に,宇品モールなどの賑わいづくりのための集客施設が構想としてあがっている。
 この計画はどうするのかという点,お金がなければ民間主導で,PFIやSPCといった新しい方式で考えたらどうかと思うが,宇品モールのような集客施設の整備など,港の特性を活かしたまちづくりを,今後どのように進めようと考えているのか,伺う。

答:
 宇品モールやターミナルタワーは,「ポートルネッサンス21事業」において構想されておりましたが,社会経済情勢が大きく変化するなか,構想をそのまま事業化することは困難な状況となっております。
 しかしながら,広島の海の玄関口にふさわしい魅力あるみなとまちづくりに対するニーズは, 開放的な水辺景観,多様なレジャー活動,歴史や文化に親しむ場が求められるなど,ますます高まってきております。
 こうしたニーズにこたえるため,宇品地区から出島地区にかけて,水際空間を散策できる遊歩道を軸にして,各地区の特性を活かした賑わいづくりを行う計画としております。
 その実施にあたっては,順次,段階的に行うこととしております。
 今後とも,住民参加型や民間活力の導入など,新たな整備手法の検討を進め,魅力ある広島の海の玄関口にふさわしいみなとまちづくりに努めてまいります。

4.出島埋立地区廃棄物処分場設置事業について
   (1)処分場の規模縮小と受入れ期間について 
担当部局: 環境局 答弁者: 環境局長

問:
 この9月に,廃棄物受入れ延期が発表された。出島処分場の,当初の受入れ開始予定時期は,平成18年度末だったが,これはこの時期に五日市の処分場が満杯になるから,という理由だった。
 しかし,この3年間の受入れ延期によって五日市への搬入量を6万立法メートルに減量し,3年間持ちこたえるという県側の主張に住民は不安を抱いている。つまり,搬入量は減っているということは,処分場の計画容量が満杯になる時期が遅れるということで,平成15年6月に地元住民との間に締結された環境保全基本協定書による「廃棄物受入の計画期間は,受入開始から10年間とする」という約束が守られないのではないか,という不安である。
 本施設の産業廃棄物の計画容量は186万立法メートルであり,16年度の五日市地区処分場への埋立量は8万?であることからすれば,本施設にこの量を10年間埋め続けても80万立法メートルにしかならない。
 実際広島県の廃棄物処理計画によっても4割減の目標値が明記されている。産廃を少なくしようとしているのに,ごみ箱の容量は同じということは,受入れ期間の延長があるのではないか,と住民が不安を抱くのも当然である。
 そこで,県が目標として掲げている産廃総量,平成18年度までに4割減という目標値に応じて,この処分場の規模縮小を検討すべきだと思うがどうか,また住民の不安を解消するため,ここでもう一度「10年間で処分場を閉鎖する」ということをはっきりと,これは是非知事自身に答弁いただきたい。

答:
 産業廃棄物処分場は,生活環境の保全や産業活動の健全な発展を図る上で,必要なものと認識しており,これまで,県といたしましても,公共関与処分場を計画的に整備して参りました。
 五日市処分場の受入については,産業活動への影響を考慮して,後継施設である出島処分場の供用まで受入期間を延長するため,公共事業や大企業等の搬入抑制を行った結果,平成11年度は21万立方メートルを受け入れておりましたが,平成16年度には8万立方メートルとなっております。
 この抑制した廃棄物につきましては,大部分は,県内外の民間処分場に搬入されているものと考えております。
 また,新たな民間処分場の立地は極めて困難な状況にあり,現状の民間処分場の容量にも限りがありますことから,公共関与処分場は,これらの受け皿としての役割も担わなければなりません。
 さらに,災害等緊急時の廃棄物の対応も考慮する必要がございます。
 このようなことから,今後の廃棄物の排出抑制,リサイクル等の進展を考慮いたしましても,出島処分場の規模につきましては,当初計画のとおり一般廃棄物も含めて 190万立方メートルが必要なものと考えております。
 出島処分場の受入計画期間につきましては,平成15年6月に,地元の代表者の方々と締結いたしました「出島地区廃棄物処分場環境保全基本協定」におきまして,「廃棄物受入の計画期間は,受入開始から 10年間とする」ことといたしておりまして,この協定の内容を尊重して参りたいと考えております。
 今後とも,地域の皆様のご理解を頂きながら,出島処分場の整備を進めて参ります。
(再質問)
担当部局: 環境局 答弁者: 環境局長
問:
 地元との協定書の当事者は県知事である
 処分場は10年間で閉鎖するという条文を知事に読んでいただくだけで,地元の方は不安が解消される。
 また,処分場を閉鎖した後の跡地をどのように利用していくのか,住民の皆様方の声を聴いて,施設を意義あるものとする必要がある。
 10年で閉鎖するということが重要な課題となっているので,知事の口から環境協定書の10年で閉鎖するという条文を読んでいただくだけで構わないので,是非お願いしたい。
答:
 「出島地区廃棄物処分場環境保全基本協定書」の第10条に,「廃棄物受入の計画期間は,受入開始から10年とする」と規定してございまして,この協定書の内容を尊重して参りたいと考えております。
 (2) 五日市の積替保管施設設置事業について 
担当部局: 環境局 答弁者: 環境局長
問:
 廃棄物の搬入方法については,五日市地区に積出施設を,出島地区処分場に揚陸施設を整備し,五日市から海上搬入することとなっている。この積出施設も産業廃棄物処分事業を構成するものである以上,五日市地区の住民の方々の理解を得て,事業を進める必要がある。
 先の2月定例会においては,「計画地周辺の環境調査結果に基づく環境保全措置も含め,事業計画を住民の方々に説明し,理解を得ながら事業を進めていく」,との答弁だったが,その後,住民の方々の事業に対する理解は得られたのか,また,今後どのように,この積替保管施設の設置事業を進めようと考えているのか,伺う。
答:
 五日市地区に予定しております積出施設につきましては,平成16年度に,環境保全措置を含む事業計画をとりまとめております。
 この計画に係る地元説明について,現在予定地周辺の代表者の方々と,協議を行っているところでございます。
 五日市地区の皆様には,処分場の開設以来,ご協力を頂いていることを,深く認識いたしております。この度の積出施設につきましても,ご理解とご協力を頂けますよう,地元調整を進め,その整備を図って参りたいと考えております。
5.広島高速道路の利用料金ついて
担当部局: 土木建築部 答弁者: 知事
問:
 今回の見直し案について,私は広島都市圏における渋滞解消という意味で重要なのは,有料道路である高架部分ではなくて,むしろその下の街路部分であると考えている。無料でしかも近距離の移動を便利にすることによって,局地的な渋滞が解消できるからである。
 この南道路の整備計画は,難航した太田川渡河部は広島市が公共事業でやる,つまり,無料で渡れる橋を広島市が整備する。
 そしてその観音から江波,吉島は,国が高速3号線に並行する街路部分を整備すると,つまり無料で吉島まではいけるわけである。
 しかし,吉島から宇品に渡る橋だけは有料になるという計画である。それも,料金一律だから,1回渡る毎に500円もかかる。往復で1,000円で,普通の人は利用しない。現在宇品地域には商業施設の集積が進み,高層マンションの立地も進んでいる。
 さらにその北側のJTの工場跡地には大型のショッピングセンターが進出する予定である。実際,土日は鷹ノ橋宇品線,特に宇品大橋付近は大渋滞になる。
 広島市は自動車専用道路の太田川渡河部を,国はその他の街路部分を,それぞれ担って無料の道路を整備するわけだから,私はこの宇品吉島間の橋は県がかけてもいいぐらいだと思うし,せめてその利用料金を下げる努力をしたらいかがと思う。
 先日,10月に発足した首都・阪神の両高速道路会社は,平成20年度を目途に導入する新通行料金制度の原案を発表した。
 不公平感の緩和を狙いとして,これまでの均一料金を改め,通行距離に応じた料金体系にするという内容で,これにより,首都高速の東京圏では,普通車の一律700円が,250円から1,700円になる。
 環状線化している首都高でさえ,距離に応じた料金体系に変えようとしているのに、いったきりの広島高速が一律500円の料金設定というのはどうも納得できない。<
 海田大橋の通行料金が100円だから,宇品吉島間の新しい橋も100円くらいで渡れるようにすべきである。広島高速道路は渋滞解消という目的を掲げるのなら,是非対応すべきだと思うがどうか,見解を伺う。
答:
 広島高速道路につきましては,広島都市圏の拠点機能の強化を図るため,必要不可欠なものであり,早期供用に向け,鋭意整備に取り組んでいるところでございます。
 通行料金につきましては,当面,段階的に供用される路線について,適切な区間別の料金を設定することとしております。
 また,現時点での計画では,ネットワーク完成時においては,均一料金制を予測いたしております。
 一方,現在,国において,首都高速道路等の料金体系を,走行距離に応じたものにすることを目指し,ETCを活用した,社会実験を行なうこととしております。
 広島高速道路につきましても,ETCの導入を予定しており,国の社会実験等の結果を見極めながら,債務の確実な償還を前提に,より使いやすい料金体系の導入に向けて,今後,検討を進めて参りたいと考えております。
6. 建築確認事務について (1)本県の建築物の安全性について
担当部局: 土木建築部 答弁者: 都市局長
問:
 知事はよく安全・安心,住んでいて良かった広島県と言うが,住宅などの建物の安全性はその基盤となるものである。今その安全安心がこの度の構造計算書の偽造問題によって大きくゆらいでいる
 ここはしっかりと県民の信頼を取り戻すべく,この安全性の問題をこの際しっかりと点検すべきだと思う。
 広島県内の高層マンションに住んでいる方々に対して,「広島県は大丈夫」と安全宣言をすべきではないか,と思う。少なくとも,問題になっている設計会社,民間の指定確認検査機関が関与している建物はないと言うべきではないかと思う。
 現状で,本県の建築物はどこまで安全なのか,その安全性について,伺う。
答:
 県民が安全で安心して暮らせる住生活の確保を図ることは,県の重要な責務であると認識しております。
 今回の偽造問題に関与した建築士が関わった建物として,これまで国が公表した208件については,県内に該当する建物はないことを確認しております。
 このほかのマンションなどについても,県内の特定行政庁及び指定確認検査機関において,建築確認の書類が保存されているものについて,点検・調査を行っております。
 これまで,点検・調査を行った建物には,構造上,問題のあるものは確認されておりませんが,全ての建物の点検を行い,安全であると確認するためには,もうしばらくの時間が必要であると考えております。
 本県では,この偽造問題を受けて,県,特定行政庁及び県内の民間確認検査機関で構成する,構造計算書偽造問題対策連絡協議会を設置しており,今後は,この協議会などを活用しながら,点検・調査をすみやかに進め,建物の安全性の確保を図って参ります。
 (2) 建築行政における指導の強化と現地確認の徹底について
担当部局: 土木建築部 答弁者: 都市局長
問:
 よく市街地などで,マンション建設反対運動などが起こるが,これは騒音や日照権といった問題が争点となっている場合がほとんどである。
 マンションを建てる側の論理は,建築基準法にのっとり,当局の建築確認をうけているから法律上は何の問題もない,といったもので,だいたいはこうした業者に押し切られるケースが多い。建築基準法上適法であるものに対し,建築基準行政での指導は難しいと思う。
 しかし,私はこうした場合でも行政がしっかりと指導要綱を定めて,指導すべきだと思う。どういう建物がその地域にふさわしいのか,地域とのつながりを維持していくために,紛争を解決していくための指針,あるいは指導,相談といったものも含めて,これは行政の仕事ではないか,と思う。
 せめて,建築確認自体は,少なくとも現地を確認すること,問題点があれば指導するということが必要だと思う。
 特に中間検査の時点で,鉄筋,鉄骨の量で手抜きの有無がだいたいわかる,と専門家は言われている。この現地確認という作業はしっかりとやっていただきたいと思う。
 こうした問題に対して今後知事はどう対処していくのか,特に,今建築中のマンションについては,すぐにでも行うべきだと思うがいかがか。
 以上,建築行政における指導の強化と現地確認の徹底について,伺う。
答:
 阪神・淡路大震災を機に,平成10年の建築基準法の改正により,中間検査制度が導入され,特定行政庁等は,工事中の検査を行うことが可能となっております。
 この改正を受け,本県では,戸建て住宅を対象として,平成12年1月から,中間検査を実施しております。
 今回の偽造問題を受け,中高層の共同住宅についても,指導・検査体制の充実とともに,中間検査の導入を検討して参ります。
 また,現在建築中の共同住宅については,県が管轄する建物は,緊急に立入検査を実施することとし,他の特定行政庁等に対しても,連絡協議会の場において,対応方法について,協議していきたいと考えております。
 (3) 建築確認事務の人員態勢について
担当部局: 土木建築部 答弁者: 都市局長
問:
 
平成16年度の県の建築確認件数は,2,524件であり,一日あたり10件近い件数をこなさないといけない計算になる。
 そして構造計算書が必要となるもののうち,今回の偽造事案で問題となった3階建て以上の建物に限ってピックアップすると,平成16年度で概ね150件となる。
 マンション等の構造の複雑なものは処理期間が21日以内と定められており,その申請書に添付される構造計算書は100枚にも及ぶものもある。
 この膨大な書類のチェックという専門的な作業を,検査の質を確保しながら,期間内に処理することが求められるわけである。
 そのためには実務的にきちんとしたチェックができる十分な人員の配置が必要で,そのハード面も含めた能力アップも必要である。
 この業務は地域事務所建設局の建築課で担っているが,本県の現行の人員体制は十分と考えているのか,また,今回の事件を契機に,今後,検査の質の確保と能力向上のための体制を拡充する必要性について,どのように考えているのか,伺う。

答:
 建築基準法は,一定の期間内に建築確認を行うこととしており,膨大な構造計算書が必要となる建築物については,建築士が適正に設計を行ったものとして,構造計画や主要部材などの審査を,重点的に実施しております。<
 今回,建築士による巧妙な偽造が行われたことを踏まえ,今後は,構造計算プログラムの導入により,再チェックするなど,建築確認審査の一層の厳密化を図るとともに,審査体制の充実・強化を図って参ります。

7.高次脳機能障害対策について 
担当部局: 福祉保健部 答弁者: 知事

問:
 
県においては,平成14年度から県立身体障害者リハビリテーションセンターを地方拠点病院に,国の高次脳機能障害支援モデル事業の指定を受け,診断・治療・リハビリ・相談業務などを実施しているが,このモデル事業は,本年度をもって終了となる。一方で,現在,国においては,このモデル事業を通じて得られた成果を広く全国に普及するため,支援拠点機関の設置や,支援手法の研修などについて,検討が行われているとのことである。
 そこで,これまで実施してきたモデル事業の成果やこうした国の動向を踏まえ,本県として,来年度以降,高次脳機能障害対策にどのように取り組んでいこうと考えるか,伺う。

答:
 
高次脳機能障害につきましては,医療や福祉などのサービス提供体制や,障害に対する理解が十分でないこともあり,ご本人はもとより,ご家族にとっても大変な御苦労があるものと認識をいたしております。
 このため,県では,平成14年度から国の指定を受け,モデル事業を実施して参りましたが,現在,今後の対策のあり方などについて,外部の専門家による委員会を設置し,報告書の取りまとめに向け,論議を進めているところでございます。
 具体的には,地域において適切な医療等が受けられる体制の構築,高度・困難事例の診断・治療を行う中核的な専門医療機関の指定,医師や医療ソーシャルワーカーなどの専門家の育成,県民に対する普及啓発の促進などについて,検討を行っております。
 県といたしましては,今後,委員会の提言や国の動向も踏まえながら,高次脳機能障害者の方々が地域で安心して生活できるよう,医療提供体制の充実や,社会復帰に向けた支援体制の構築などに,積極的に取り組んで参りたいと考えております

8. ハートフル農園支援事業について
担当部局: 農林水産部 答弁者: 知事
問:
 
平成17年度の新規事業として,障害者に新たな就労の場を提供する農業生産法人を支援し,法人の経営の強化と障害者の就労を促進して,地域で共に支え合う社会を目指す,ハートフル農園支援事業に取り組んでいる。障害者を地域でどう支えていくか,というのは県政の重要な課題である。この事業も農業生産法人の選定や,本当に障害者のことを考えて事業を行っていくのか,といったハードルがあると思う。しかし,農業を対象としたこの取組みがモデルとなり,障害者の就労形態も福祉的就労から一般就労が広く県内各地へとつながっていき,障害者の自立と社会参加が進むよう,今後とも,このような障害者の自立につながる施策を県が先導性を発揮して積極的に取り組んでいくべきだと思う。
 そこで,このハートフル農園支援事業の初年度である本年度の取り組み状況と,このように農業者と障害者が共に支えあう仕組みを地域に定着させるために,県は,今後どのように取り組んでいくのか,伺う。

答:
 障害者が地域社会の構成員として,地域住民と共に暮らし,自立した生活を送るためには,様々なバリアの解消とともに,雇用・就業の機会を拡大し,経済基盤の確立を図ることが,重要な課題であると考えております。
 このため,先導的なモデル事業として,新たな働き手の確保を求める農業生産法人と,就労を目指す障害者が,地域で支え合い,共に生きる社会を目指す取組を行う,ハートフル農園支援事業を進めているところでございます。
 本年度は,知的障害者がアスパラガスの植え付けや収穫作業に従事する農業生産法人の取組など,3つの事業を採択しており,現在,地元の自治体で,事業実施に向けた準備が進められているところでございます。
障害者をめぐる雇用環境が大変厳しい中で,ハートフル農園支援事業の成果を広く県内に普及し,事業者の障害者に対する理解を深め,障害者の自立と社会参加の促進に努めて参りたいと考えております。

9. 捜査力の向上について
担当部局: 警察本部 答弁者: 警察本部長
問:
 
本県では,「犯罪の起こりにくい広島県づくり」を目標に,「減らそう犯罪」県民総ぐるみ運動を展開し,その結果,「犯罪件数を3年で3割減少させる」という抑制目標の達成も可能な状況である。そして,先般開催された広島県「減らそう犯罪」推進会議では,「犯罪件数を,今後5年で,ピーク時の半減を目指す」という新たな行動目標を決定された。
 しかし,県内では,先月,広島市安芸区の小1女児殺人事件が発生した。この事件の容疑者は逮捕されたが,1年前の廿日市市の女子高校生殺人事件など子どもが被害に遇う重要凶悪事件が,相次いで発生している。県警は,未解決の重要凶悪事件の解決に向け,全力で捜査されているところであるが,県民の不安は募るばかりであり,体感治安は悪化している状況にあるものと思う。
 私は,「犯罪件数を,今後5年で,ピーク時の半減を目指す」という行動目標を達成することが,体感治安の向上にどれだけの効果を及ぼすのか疑問がある。小さな犯罪をいくら減らしても,重要凶悪事件が解決されていないということの不安のほうがはるかに大きいのではないか,ということである。つまり,警察の捜査力を向上させ,重要凶悪事件を解決していかなければ,この体感治安というものは向上しないのではないかと思う。
 県民を不安に陥れる重要凶悪事件が多発している現状からすれば,県民が,今,一番求めているものは,犯罪件数の半減目標が達成されることもさることながら,重要凶悪事件の抑止と検挙に重点指向した警察活動ではないかと考える。
 そのためには,警察官の増員は図られているが,現時点でも他県と比較して十分とは言えない状況にあることから,犯罪件数の半減目標は現状の3割程度の減で十分として,「犯罪件数を5年で半減する」という目標にこだわらず,警察本来の機能である捜査力の向上のため,あらゆる対策を講じる必要があると思うが,警察本部長の見解を伺う。

答:
 犯罪の起こりにくい,だれもが安全・安心を実感できる広島県を実現するため,「減らそう犯罪」県民総ぐるみ運動に取り組み,相当の成果を挙げているところであります。
 この運動の一つのねらいは,小さな犯罪であっても見逃すことにより凶悪事件の発生を招く土壌になるということから,犯罪をみんなで抑制していこうというものであります。
 この運動を更に発展させるため,先般の「減らそう犯罪」推進会議において,運動の行動目標を「ピーク時の半減」と設定されましたが,この実現には,当然,警察が重要凶悪犯罪や身近な犯罪などの検挙活動を強化するということと,これまで以上に県民・事業者・NPO・市町などが協働して行う「犯罪の起こりにくい安全なまちづくり」が展開されるということの二つが「両輪」で行われることが,大前提となっております。
 県警察といたしましては,捜査力を強化するため,今後も警察官の増員要求を行うとともに,組織・人員の効率的な運用,初動捜査体制の整備,DNA型鑑定資料のデータベース化など科学捜査力の強化や緊急配備支援システムなどの整備充実に取り組む必要があると考えております。
 併せて,警察官の資質や捜査能力の向上を図るなどあらゆる対策を講じながら,重要凶悪事件をはじめとした各種犯罪の抑止と検挙を推進することにより,県民の体感治安の改善に努めて参りたいと考えております。