1.知事の政治姿勢について
担当部局: 政策企画部 答弁者: 知事

問:
 「保守とリベラル」という言葉がある。私自身は,保守を「社会の急激な変革でなく,規範や価値観を維持しながらちょっと上の豊かさを求めていく政治姿勢」と解釈し,リベラルはその逆で,変革こそが理念の中心にある。もう一つ,「大きな政府か,小さな政府か」という考え方がある。これと似た争いで,「財政再建派か,積極財政派か」という論争もあった。結局,小さな政府・財政再建派が,小泉路線として支持され,現在にいたっている。

 そこで,今の広島県だが,広島市内では新球場の建設が始まった。広島市も長い財政再建期間を乗り越え,新球場以外にも広島駅の南口・北口,球場跡地,広大跡地と大規模プロジェクトが始動し,都市高速道路も順調に整備されている。今こそ私は,これらのうちどれか一つでも,県がリーダーシップをとって,拠点都市再生の起爆剤となるべきだと考えている。備後地域でも,工場誘致の成功で,新たな工場団地の造成を求める声が強くなってきている。工場の誘致は順調であり,今こそ畳み掛けるように,投資する必要があると考えている。

 一方,積極的な市町村合併で,小さな政府,小さな自治体を推し進め,次は権限移譲で,広島県行政自体も小さくなっている。

 地方分権の究極の姿である道州制をにらんでのこととは思うが,福田政権になって,道州制の議論は完全に失速している。

 今述べた広島県の状況を踏まえ,今後の県政運営について,知事の基本的な政治姿勢を伺う。

答:
 厳しい財政環境の中にあっても,本県の活力をさらに高めるとともに,県民の皆様が安心して生活できる「元気な広島県」の実現を図っていくことが私の使命であると考えております。

  このため,より良い公共サービスを効率的・効果的に提供する観点から,住民に身近な市町への事務・権限の移譲を進めるとともに,質の高い効率的なサービスが期待できる業務については,積極的に民間への開放を推進しております。

  さらに職員の削減や,事務事業の見直し,内部管理経費の縮減などの行政改革に取り組むなど,スリムで効率的な県政の構築に努めているところでございます。

  また,社会経済環境が大きく変化する中で,柔軟かつ機動的に県政運営を行うため,

 ・ コスト意識を高め,県民の視点で考え,わかりやすい県政を進める 「県民起点」

 ・ 時代を先取りした独創的で自立的な取組に挑戦する「変革挑戦」

 ・ 多様な主体の参画と知恵の結集による「協働連携」

の3つを基本姿勢として,取り組んでいるところでございます。

今後とも,こうした考え方に基づいた県政を推進し,「活力と安心,希望のある『元気な広島県』」の実現に向けて全力を傾注して参る所存でございます。

2.平成20年度当初予算案について
1) 当初予算における選択と集中について
担当部局: 総務部 答弁者: 知事

問: 
 
当初予算の編成に当たっては,財政健全化が最も重要な課題と位置付けられている。これは,私が県議会議員になった平成11年からずっと言われ続けてきたことで,9年経っても未だに解決していないということになる。
 知事は「選択と集中」という言葉でよく予算の編成方針を表現するが,本当にこのことが実行されているのかという点について,確認したい。
 平成20年度の当初予算案において,まず義務的経費である人件費,公債費,扶助費,税支出金,福祉医療関係費及び公共事業,これらの経費を除いて残ったもの,これは,要は知事がソフト事業などの一般事業に投資できるお金ということになるが,それがいくらあったのかという点について伺う。そして,このお金のうち,「選択と集中」により,知事の掲げる「元気な広島県づくり」のためにいくら投資したのか,この額は前年度に比べて増えているのか,減っているのかという点も併せて伺う。

答: 
 
平成20年度当初予算案につきましては,厳しい財政環境のもとで計画的に財政健全化に取り組みながらも,限られた財源を真に必要な施策に重点的に投資することによって,「元気な広島県」づくりを更に推進すべく,予算編成を行ったものでございます。

 当初予算案のうち,御指摘の,義務的経費である人件費,公債費,扶助費,また,義務的性格の強い税支出金や福祉医療関係費,更には,公共事業費を除いた後の予算額につきましては,1,870億円となっており,前年度と比較いたしますと,県全体の予算額が前年度比3.1%減となる中にあって,前年度比2%減に,とどまっております。

 この中で,「元気な広島県」づくりを実現するために必要となる主要な事業につきましては,選択と集中を徹底することによって,所要の財源を確保いたしました。

 具体的には,「元気挑戦プラン」の実施計画に掲げる施策を推進するために,対前年度比80億円増となる,750億円にのぼる予算計上を行い,積極的な取組を進めることとしたものでございます。

 中でも,県民の皆様からの要望が強く,かつ本県全体の活性化の鍵となる,「新たな過疎対策」,「人づくり」,「中枢拠点性強化」の3分野につきましては,今後の県勢発展のために,特に重要な分野であると位置づけ,全庁を挙げた事業展開を図って参ることとしたところでございます。
 今後とも,限られた財源を有効に活用し,「元気な広島県」の実現に向けて,全力を挙げて取り組んで参る所存でございます。

2.平成20年度当初予算案につい
 
2) 財政健全化の状況と今後の見通しについて
担当部局: 総務部 答弁者: 総務部長

問:
 
財政健全化に向けたいくつかの指標がある。

 一つはプライマリーバランスだが,来年度は黒字化できるのか,これは重要な課題である。今年度のように,当初予算ベースで黒字化できても,決算ベースでは赤字だったというのでは意味がない。来年度は,決算ベースで実現できるのか,その決意の程を伺う。

 また,財源不足額については,来年度は652億円で,「新たな具体化方策」で320億円の効果額,残りの332億円を,行政改革推進債の発行や基金の取崩でしのぐとされている。この財源不足額は,いつになったら解消するのか,今後の見通しはどうなるのか。

 さらに,県債残高も大事な指標である。来年度は,全額国からの交付税措置のある県債等を除いた「実質的な起債残高」が59億円減少するとしているが,その約1兆5千億円余りは,あくまでも元金であり,利子は含まれていない。将来支払うべき利子も含めた場合,必要となる返済額の累計はいくらになり,その額は年々減少しているのか。

 そこで,今後の財政運営に当たり,財政健全化のポイントとなるプライマリーバランス,財源不足額,将来の利子を含めた返済額の累計の状況及び今後の見通しについて伺う。

(2) 財政健全化の状況と今後の見通しについてについて
                      (再質問)
 
担当部局: 総務部 答弁者: 総務部長

問:
 中国地方の県・政令市では,広島県以外は,プライマリーバランスが決算ベースで黒字化の見込みとなっている。なぜ本県のでは,プライマリーバランスが赤字になるのか。

答:
 本県のプライマリーバランスの算定方法は,国とは異なりまして,例えば公債費からは,償還利子を除いております。地方交付税の振替でございます臨時財政対策債は,本来地方交付税でいただくという考えのもとで,新発債の発行額から除いておりまして,こういったやり方で,私ども独自の対応を行っていることから,直ちに把握できる数字だけで他県比較することは,そういった注意がいるということをご理解いただきたいと思います。

 本県では,バブル経済崩壊後に,長引く景気低迷の中で,アジア大会ですとか国体の開催などへ向けたインフラ整備,あるいは県経済の活性化に向けまして経済対策などに,懸命に取り組んで参りました。

 こうした取組は,社会インフラの整備や企業誘致の推進など,相応の成果をあげているもののと考えておりますが,一方で,県債残高や現在の財源不足の拡大の一因となったものと認識しておりまして,こうしたことが,わが県がプライマリーバランスがまだ黒字化していない理由として挙げられるものと考えております。

 プライマリーバランスの黒字化は,健全な財政基盤の確立に道筋をつけるためにも,重要な課題であると認識しておりまして,再度強い決意を持ちまして,できるだけ早期に決算ベースのプライマリーバランスの黒字化を実現できるよう引き続き,投資的経費の計画的な抑制ですとか,あるいは一層の歳入確保などを全庁をあげて図って参ります。
3 広島市との関係について
1) 福祉医療公費負担事業について
担当部局: 総務部 答弁者: 総務部長
問:
 県・市の間で最大の課題は,福祉医療公費負担事業の負担をめぐる問題である。過去1年半にわたって,県と市で議論されてきたが,来年度予算に向けた決着は「県・市痛みわけ」というもので,結論を先送りしたものであった。県の補助金カットが不当だと主張する広島市の論点の1点目は,「広島市民も県民税を納付しているではないか」というもの。2点目に,「乳幼児や重度の心身障害者,ひとり親家庭といった社会的弱者が対象となっている制度であり,財政健全化のしわ寄せがこうした方々に偏ってしまうのではないか」というもの。3点目として,「一方的な通告でもって押し切ろうとしている県の態度」そのものに対する不信感の表れである。

 120万広島市民も県民税を払っている限り,その代表である県議会議員を選出する権利があり,そこで選出された議員は,その県民税がどのように使われているのかをチェックしていかなければならない。広島市の統計書によると,広島市域内での県税は,地方消費税を除き,法人関係税は市内に本店がある法人に係る数値ではあるが,平成17年度で873億円となっている。この税収がどれくらい広島市民に還元されているのかということが明確にされなければならない。

 国では,来年度,三大都市圏の法人税収の一部を,地域対策として地方に再分配する方針を示している。私自身も,「広島市からの税収は,全て広島市に投資すべき」とは考えていないが,「それがどのように使われているのか」ということは,広島県の説明責任としてしっかりと示し,広島市を,そして広島市民を説得していく義務があると考える。

 そこで,福祉医療公費負担事業について,県と広島市でどのような議論を行い,今回の合意に達したのか,その協議状況と今後の対応について伺う。

 また,「広島市民も県民税を納付しているではないか」という広島市の主張に対する県の見解について,併せて伺う。
答:
 
福祉医療公費負担事業に係る県の補助率の見直しにつきましては,従前から継続的に広島市と協議を重ねて参りましたけれども,平成18年度に,県・市の役割分担や財政規模,あるいは,現下の厳しい財政状況などを踏まえまして,更なる引き下げを提案したところでございます。

 その後,断続的に幹部職員を含めました,協議を広島市との間で行って参りましたが,合意に至ることができませんでしたことから,昨年12月に知事・市長会談を開催したところでございます。

 この会談においては,県・市両者の考え方を改めて明らかにするとともに,平成20年度当初予算編成に向けまして,精力的に調整を進めることとしたところであります。

 この結果,当面2ヵ年の合意として,平成19年度の補助率は据え置き,平成20年度は県の提案どおり,補助率を3分の1に引き下げること,また,平成21年度以降につきましては,改めて協議を行うということで一致したところでございます。

 今後も引き続き,県の考え方につきましてご理解をいただきますよう,広島市と真摯に協議して参りたいと考えております。

 なお,お尋ねのございました県税収入の使途につきましては,広域行政を担う自治体として,県勢の発展や県民全体の生活の維持・向上を,こういったものを図る観点から,活用していくのが基本であると認識しております。

 こうした考えに立ちまして,広島高速道路の整備,あるいは広島市新球場建設,さらには,広島駅前市街地再開発事業への支援など,本県の中枢拠点性の向上や広域的な事業効果のある施策につきまして,県としても,積極的に予算を確保しております。

 また,県民生活の維持・向上に係る施策につきましても,広島市との適切な役割分担を踏まえつつ,財政的負担を行なっているところでございます。

 今後とも,こうした姿勢に基づき,広島市と連携を密にしながら,施策展開を図って参りたいと考えております。
 1)福祉医療公費負担事業について(再質問)
担当部局: 総務部 答弁者: 総務部長
問:
 補助金の全廃は,他の政令市と比較しても,現段階で,平成22年度以降の補助金全廃は,とりあえず白紙に戻すべきと思うがどうか。
答:
 福祉医療公費負担事業に係る広島市に対する補助率につきましては,当面,平成20年度の対応といたしまして,補助率を3分の1まで引き下げることとしておりますけれども,平成21年度以降は,改めて協議することで,広島市と合意しているものでございます。

 今後の協議内容につきましては,具体的にどう進めていくかということにつきましては,現段階で申し上げることはできませんが,現下の厳しい財政状況が,直ちに好転するとは考えられないことから,広島市に一定のお願いを申し上げるという姿勢は,基本的に変わらないものと考えております。

 ただ,いずれにいたしましても,今後とも県の状況考え方につきましてご理解をいただきますよう広島市と真摯に協議を重ねてまいりたいと考えております。
2)権限移譲の推進について
担当部局: 地域振興部 答弁者: 地域振興部長
問:
 広島市は政令指定都市だから,そんなに県から移譲する事務はないと思っていたが,結構ある。平成19年度の移譲事務交付金は約1億円で,来年度は約1億5千万円を予定している。それでもまだ,移譲について合意が得られていない事務項目が17項目あり,主なものは,農林水産関係と土木建築関係の13項目である。 

 
そこで,なぜこれらの権限移譲は進まないのか。特に,事務事業総点検でも項目に上がった草津漁港を含む県管理漁港の移管など,残りの移譲項目への今後の対応について伺う。
答:
 広島市につきましては,18年度に,移譲の実施計画となります事務移譲具体化プログラムを策定し,他の市町と同様に,計画的に進めております。

 20年度までに,全体の約6割が移譲される予定で,残る事務につきましても,計画期間内には移譲できるよう,精力的に協議を行っているところでございます。

 移譲が決まっていない事務のうち,漁港や海岸に関する事務のように,施設の移管を伴うものは,移譲に当たって人的・財政的な影響を考慮する必要がございます。

 このため,協議に時間を要しておりますが,今後の市の主体的で一体的な地域づくりを進めるには,是非とも必要なものであると考えておりまして,県といたしましても,早期に移譲できるよう,引続き協議を行って参ります。
4 県の組織再編について
担当部局: 総務部 答弁者: 知事
問:
 地域事務所の業務は,税務・厚生環境・農林・建設・総務等,本庁機能と連動しながら,現地性の高い業務を行っている,つまり,現地に行って状況を把握することが求められる,あるいは各地域に住んでいる県民の利便性も確保する必要があるものと理解している。

 そこで,実際の仕事量はどれくらいあるのか公用車の利用状況から見てみた。平成16年度に地域事務所が保有していた公用車の台数は798台で,総走行キロ数は約565万キロが,平成18年度は581台,   453万キロとなっている。総走行キロ数で平成16年度から,約2割の減となっている。本来,平成13年度以降,地域事務所に統合され,また,廃止された支局もある中で,現地性が求められている業務を従来どおりこなすためには,公用車の台数も増やし,走行距離も伸びなければならないと考えるが,なぜこのような現象が起こるのか。市町村合併や権限移譲,業務量の減が影響しているのかとも思うが,県民サービスの低下に繋がっているのではないか,災害時の危機管理に十分に対応できる体制になっているのかと不安を感じさせる数字である。

 支局の廃止などにより管理区域が広域化し,現地までの長距離移動を余儀なくされているといった状態で,災害対応など危機管理の視点から重要な業務や,用地交渉・境界確認・工事説明・現場監督の業務など,特に現地性が要求される業務については,引き続き支局の維持が必要なのではないかと考える。こうした点に十分に配慮して,地域事務所の再編について検討していくべきだと思うが,県の考え方を伺う。
答:
 県の組織・機構は,行政需要の変化に即応して事務事業をより効率的,効果的に執行できるよう編成すべきものと考えておりまして,先般,広島県行政システム改革推進懇話会で取りまとめられました,「県の組織のあり方に関する中間取りまとめ」も踏まえ,組織再編の取組を進めているところでございます。

 この,「中間取りまとめ」におきましては,地域事務所は,市町村合併や市町への事務権限の移譲が進展している状況などから,地域の総合行政は基礎自治体が担いつつあり,本庁各部直轄の現地事務所に再編すべきであるとされております。

 また,その所管区域は,西部・東部・北部を基本に,住民の利便性の確保や危機管理の即応性などの観点から,特に現地性の高い業務は,必要に応じ,支所等を配置して対応すべきであるとの提言がなされております。

 こうした基本的な方向に沿って,今後とも,市町をはじめとする関係者の御意見も十分お聞きし,現地性が高い業務への対応等にも配慮しつつ,地域事務所の再編計画の策定を行って参りたいと考えております。
 5 新産業の創出に向けた取組みについて
担当部局: 商工労働部 答弁者: 商工労働部長
問:
 
財政健全化も大切だが,一方で,既存産業をさらに元気にすることや,次世代産業にまで視野を広げ,その育成に努力することが,県の果たすべき重要な役割であると考える。

 広島県では,企業誘致には比較的成功しているが,外国資本の導入や投資の促進,新産業の創出といった分野では,目ぼしい成果が上がっていないのではないかと感じている。

 昨年には,平成14年から18年まで,年間5億円で合計25億円の政府資金を投入して研究してきた知的クラスター創成事業が,「基盤となる産業集積がないため,世界レベルでのクラスター形成が期待できない」等の理由で打ち切られた。なぜこんな結果になったのか,分析が必要であるし,今後の運営方針にも生かしていかなければならない。

 広島県産業科学技術研究所は,本県における次世代産業の創出や既存産業の高度化を推進するための基礎的・先導的分野の研究開発拠点として,平成10年4月にオープンし,約27億円かけた施設に36名の職員が勤務している。決算書を見ると,1億6千万円の県からの受託収入が事業費・管理費に支出されているが,うち人件費が約1億円である。これは人件費も含め,施設の維持管理費ということになる経費である。

 肝心の研究の方は,科学技術振興基金の運営事業は約1億円あるが,その他は,知的クラスター創成事業の約5億円しかない。つまり,27億で造った施設を1億6千万円かけて維持しているが,主要事業である研究活動には,知的クラスター創成事業がなくなると,約1億円しか使っていないという異常な状況になる。私は,これは税金のムダ使いと言われてもしかたない状況だと感じている。

 この研究所は,投資に見合う成果を上げているのか,研究活動の実態はどうなっているのか,外部資金導入の目途はあるのか,身の丈のあったように事業費・管理費を見直すべきではないのかと考えるが,県の考えを伺う。

答:
 広島県産業科学技術研究所におきましては,産学官共同によります基礎的・先導的研究開発を進めることを基本といたしまして,科学技術振興基金や外部資金を活用したプロジェクト研究,研究成果の実用化を目指した応用研究支援,将来有望な技術シーズの探索研究などに取り組んで参りました。

 これまでの取組みの結果,「ヒトの肝細胞を持つキメラマウス」や,「自動車の軽量化を図る高張力鋼板の加工法」など,8社のベンチャー企業の設立を含む30件余りの新事業展開・新商品開発といった成果が生まれております。

 こうした研究開発は,大学や企業等から派遣された研究者が集まって研究する集中研究方式により実施いたしておりまして,県からの委託費の多くは,基金プロジェクトへの参加や,技術シーズ探索に従事する県立試験研究機関からの派遣職員,プロジェクトの進行管理を担っている職員の人件費が占めております。

 一方で,効率的・効果的な管理運営を図りますため,平成17年度から指定管理者制度を導入し,これまで,4千万円余りの経費節減を行って参りました。

 また,外部資金獲得に向けましては,成果が生まれつつありますバイオ分野の新産業の創出を目指し,文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業へ提案したところでございます。

 今後とも,より効率的な管理運営を図りますとともに,外部資金獲得に向けて最大限努力し,「多彩で力強い産業構造の構築に向けた中核的研究拠点」としての機能を強化して参りたいと考えております。

 6 福祉保健行政の推進について
1) 広島市内のがん診療連携拠点病院について
担当部局: 福祉保健部 答弁者: 知事

問:
 
広島県から医師が県外の都市圏に向けて出て行くという現象が始まっているため,来年度は,中山間地域の医師確保も含めて力を入れていくということである。

 一方,平成17年度の国民健康保険1人当たり診療費は,年間39万9,485円と全国で3番目に高く,そのわりには平均寿命等の指数は平均値で,広島県の医療は,マクロで見るとバランスがとれていないように思われる。医療費が高いということは,受診率が高いということで,医師もそれに十分対応できているということとなり,医師の数が問題なのではなく,医師の偏在こそが問題なのではないかと私は考える。

 もう一つは,医療技術の進歩により高度な治療が受けられる,医師の観点からすると,高度な治療ができる,そういう場を求めて,患者も医師も大都市の大病院へ行くといった現象が,医師流出の引き金になっていると考えられる。

 私は,昨年の企業会計決算特別委員会で,カリスマ医師の例を紹介した。全国的にこうしたカリスマ医師の元に患者が集中するという動きがあり,医師も当然そうした属人的な能力・技術を高めようとするわけである。そこで,広島県の医療行政が果たすべき役割は,こうした高度医療をできるだけ標準化すること,東京・大阪にいかなくても,広島で高度な治療が受けられる体制を整備していくことだと考える。

 そこで,広島市のがん診療連携拠点病院,県病院・市民病院・大学病院・日赤病院,これらの4病院プラス同規模の安佐市民病院も含めて,がんの部位・種類ごとに専門性を高めていく取組みが必要だと考えている。例えば,消化器系のがんなら,県病院に行けば全国トップレベルの医師がいて,トップレベルの治療機器も完備しているといった状況をつくることで,魅力ある臨床研修が提供できるのではないかと考えるが,こうした広島市内のがん診療連携拠点病院の連携は検討しているのか,伺う。

答:
 
本県では,現在,策定中の「がん対策推進計画」において,「がん診療連携拠点病院」を含む,一定の機能を有する病院や診療所などが,幅広く参画し,検診や治療などの役割に応じて連携を図る,本県独自の「がん医療ネットワーク」を構築することとしております。

 このネットワークにおいて,重要な役割を果たすがん拠点病院は,二次医療圏に1か所が原則とされておりますが,広島圏域につきましては,広島市内の4病院が,相互に機能を補完し,連携しながら県全体の医療水準の向上を目指すものとして,指定されております。

 このため,広島市内の4拠点病院については,4病院が一体となって,先進的ながん医療を提供するという「ネットワーク型がんセンター」として位置付け,それぞれの特色を生かした,高度で専門的ながん治療や,人材養成などの機能を担っていくこととしております。

 これにより,単一の施設だけでは実現が困難な,難度の高い治療症例の蓄積や,がんの種別ごとの手術事例の共有などが図られ,結果として,がん治療に関する県内全域の医療機関の専門性向上や,がん医療の標準化といったがんセンターが担うべき役割も果たせるものと考えております。

 このような取組みの具体的成果といたしまして,ます,「乳がん」の全県的な医療ネットワークを構築し,全国トップレベルの乳がん対策の実現を目指して参ります。

 2) 後期高齢者医療制度について
担当部局: 福祉保健部 答弁者: 福祉保健部長
問:
 
広島県の平成17年度の老人医療費は,1人当たり医療費が年間93万5,563円で,全国第6位と高水準である。

 この給付面から見た場合,この新しい制度の導入で,この額はいったいどう変化していくと想定しているのか,上がるのか下がるのか。また,負担の部分,来年度のこの制度に関わる県負担金の予算額は,226億円だが,これは,制度改正前に比べて増えているのか,減っているのか。さらに,最も大事な被保険者の負担であるが,1人当たりでどうなるのか。保険料は月平均でいくらか,介護保険料を合わせると月いくらの負担になるのか伺う。

 新たな制度導入で,被保険者の負担が増えるようでは,これは弱者切捨てに繋がる制度で問題である。年金から保険料が天引きされる特別徴収や,1年間保険料を滞納すると「資格証明書」が発行され,窓口負担が  10割負担になる問題等,多くの問題が既に指摘されているが,できるだけ無駄な医療を省きながら,被保険者の負担を軽減していくことが,新制度の大きな目的だと思うが,実施初年度に当たり,こうした課題にどう取り組むのか,県としての決意を伺う。

答:
 今回の後期高齢者医療制度の創設は,新たな保険料負担の導入など財源構成の変更を主な内容としていることから,新制度の導入が1人当たりの医療費の増減に直接影響を与えることはないものと考えております。

  また,新制度における県費負担割合は,12分の1で今年度と同様でありますが,今後,高齢者人口の自然増などにより,来年度の後期高齢者医療県負担金予算額は,今年度より約10億円の増となっております。

 次に,被保険者の負担でございますが,医療費の負担は,現行と同様に原則1割となっており,また,1人当たりの保険料は,月平均約6,700円で,介護保険料と合わせますと,月額約11,000円となる見込みでございます。

 なお,所得の低い世帯の方に対しましては,一定の負担軽減制度が設けられ,保険料が過度な負担とならない様な措置が講じられており,また,資格証明書の発行に当たっては,慎重かつ適切な対応をするよう実施主体である広域連合に対し,助言を行って参ります。

 県といたしましては,県民,市町等と連携し,効率的な医療提供体制の構築や中高年の健康づくりの推進を図るなど,新制度の運営が,健全かつ円滑に行われるよう, 支援をして参ります。

7 環境行政の推進について
1) 地球温暖化対策について
担当部局: 環境部 答弁者: 知事
問:
 
地球温暖化と聞いて,私たちの生活に脅威を与える問題の一つとして,海面上昇という現象がある。世界的には,「ツバル」という島国が海に沈んでしまうのではないかなどと,よく取り上げられている。身近な現象では,厳島神社の回廊が冠水したり,元宇品の周回道路など,大潮の満潮時には冠水している。
 
 そこで,「こうした自然現象は,地球温暖化の影響なのか」ということをはっきりさせないといけないと思い,先日,委員会で質問したところ,黒潮がどうだとか,地盤沈下の影響だとか,一時的な現象だという見解で,さらに昨年,宮城県に調査に行った際,宮城県の太平洋岸では,海面上昇は確認されていないということであった。


 
今年の7月,北海道で開催されるG8サミットでは,「地球温暖化対策」について議論されることとなっているが,身近な環境の変化と「地球温暖化」との関連性について,もっと県民が関心を高めていくべきだと思うが,県の認識を伺う。また,その対策のために具体的に何をするのか,それらの取組みによりどういう効果が期待されるのか,併せて伺う。

答:
  地球温暖化の現状を考えますと,その対応といたしましては,これまでの温暖化の防止策に加えて,一定の温暖化の進行を前提とした適応策が,大きな課題であると認識をしております。

  このため,平成20年度から,まず,防止策については,新たに

  @ 地域における温暖化対策を総合的に進めるための市町環境基本計画の策定支援

  A 県民の具体的な取組などを盛り込んだエコカレンダーの作成・配布

  B そして,中小企業やその従業員によるエコ活動の支援

  などに取り組んで参ります。

 また,適応策につきましては,本年5月頃に国が取りまとめる予定となっている中間報告や,学識経験者の意見も踏まえながら

   @ 温暖化による影響の把握

   A 県民への情報提供

   B そして,影響に応じた対策の調査・検討

  などに取り組んで参ります。

  このような防止策と適応策を実施することによりまして,世界的な規模で進みつつある温暖化を,県民の皆様にとりまして,より身近な環境問題として,捉えていただくことができるものと考えております。

 地球の温暖化は,県民生活にも大きな影響を及ぼす重要な課題でございますので,今後とも,市町,県民,事業者など,関係者と一体となって,更なる温暖化対策を推進して参ります。

2) 公共関与廃棄物処分場について
 ア 五日市処分場閉鎖後の産業廃棄物の処分について
 担当部局: 環境部 答弁者:  環境部長
問:
 
五日市処分場閉鎖後,隣接する埋立地に出島処分場への海上搬入を行うための積出施設の設置が予定されているが,地元住民との合意形成の進捗状況,出島処分場側の揚陸施設と合わせた総事業費及び着工時期,この工事を発注する予定の環境保全公社の五日市処分場の閉鎖に伴う経営上の問題など,それぞれどのようになっているのか,伺う。
答:
  平成3年の処分場開設以来,五日市地区の皆様方には,ご理解とご協力を頂いていることを,深く認識をいたしております。

 積出施設の計画に係る地元説明につきましては,地区代表者の方に事業概要を説明し,今後の対応について現在協議を行っているところでございます。

  今後とも,住民の皆様方の御理解を得られますよう,地元対応に誠心誠意努めて参ります。

  また,出島廃棄物関連施設の総事業費等についてお尋ねがございました。

 施設整備に必要な総事業費は,概算で約45億円余と見込まれており,工期は2年程度かかることなどから,諸般の状況を踏まえながら計画的に着工して参りたいと考えております。

 次に,環境保全公社の経営上の問題についてでございますが,五日市処分場を閉鎖した後の公社の事業といたしましては,福山の箕島処分事業と五日市の建設残土受入事業がございます。

 出島処分場を含めた中長期的な経営のあり方について,公社体制の見直しも含めて,公社と十分協議を進めて参りたいと考えております。

2) 公共関与廃棄物処分場について
 ウ 今後の埋立処分場に関する県の方針について

 担当部局: 環境部 答弁者:  環境部長
問:
 
仮に,平成23年の早い時期に出島処分場の供用開始ができたとして,10年間で閉鎖するとなると,平成33年にはまた処分場がなくなるという事態が生じる。

 出島処分場の計画が,平成11年の港湾計画の改定からスタートしたとしても,23年の供用開始まで12年の期間を要したわけで,33年に新しい処分場を用意する場合には,もう今年度から適地の選定をスタートしなければならない計算になる。

 昨年発表された「第二次広島県廃棄物処理計画」によると,「産業廃棄物の最終処分量は47万トンに減量化する」という目標が掲げられている。現在の最終処分量が60万トンだから,約4分の1の量を減量するという計画になる。

 一方で,産業廃棄物の広域移動状況,つまり県内・県外の動きは,広島県に入ってくる埋立量が約30万トン,県外に出て行く埋立量が約3万トンで,こうした広域で考えると,県外からの搬入を抑え,民間の処分場をしっかり管理運営していけば,公共関与の処分場は必要ないのではないか,そもそもこれ以上瀬戸内海を産廃で埋め立てることは許されないし,山間地への立地も事実上不可能とも考えられるが,平成  33年以降の埋立処分場に関する県の方針について伺う。
答:
  県や事業者は,廃棄物の排出抑制やリサイクルの推進にこれまで積極的に取り組んでおりますが,現状では,県内の廃棄物の埋立処分量の大幅な減少は難しいものと考えております。 

 
廃棄物の適正処理を確保し,本県が今後とも「ものづくり県」として発展していくためには,最終処分場の確保は必要であると考えておりまして, 生活環境の保全を図る観点から,民間処分場及び公共処分場のあり方については,検討すべき重要な課題であると認識しておりまして,出島処分場の整備を進めていく中で,民間処分場や産業廃棄物の動向などを踏まえまして,今後の最終処分場のあり方について,検討して参りたいと考えております。

8 過疎地域などにおける生活交通対策について

 担当部局: 地域振興部 答弁者:  知事
問:
 
新たな過疎対策として33億円ほど確保したといっても,うち20億円は市町への無利子貸付枠だから,実質的には10億円余りで,やはり,過疎問題への特効薬というものはないのではないか。

 過疎対策というと,中山間地の限界集落をまずイメージするが,実は都市部である広島市南区でも,昭和  40年代に開発された古い団地では,高齢化や人口減少により,新たな過疎問題が深刻になってきている。これらの団地は,山を切り開いて開発されているため,買い物や医療機関に行くにも,車が不可欠である。広島市内でも安佐北区の高陽町や,佐伯区の団地等では,同様の問題が発生している。また,離島航路も原油の高騰や利用者の減少を受けて,非常に運営が厳しくなってきている。

 定期定路線運行が困難な地域は,効率的なオンデマンド運行を指導していくなど,生活路線の確保は,中山間地に限らず,離島,さらには,都市部においても過疎が進んでいる地域に,積極的に導入していく必要があるものと考える。いくら道路が整備されてもそこを走る車がない,あるいは手段がない,という状況では,全く意味がない。

 そこで生活交通確保に向け,中山間地,離島,都市部の過疎地域等,それぞれにどのように対応してくのか,伺う。
答:
  近年の少子高齢化や人口減少により,バスなどの公共交通利用者が減少し,事業の採算性が悪化したため,中山間地域だけではなく,高齢化の進む都市部の住宅団地においても,バス路線が廃止・縮小され,地域の生活交通の維持確保が深刻な問題となっております。

 また,離島における生活航路についても,原油価格の高騰,利用者の減少などによる経営悪化のため,減便等が相次いでおります。

 こうした中で,市町においては,住民ニーズに即したデマンド交通の導入や離島航路に対する支援など独自の動きが拡がっており,また,都市部の住宅団地等においては,地域住民が主体となり,行政とも連携しながら,乗合タクシーの自主運行を行うところも出てきております。

 このため,県といたしましては,こうした市町の自主的な取組みを踏まえ,昨年10月に,生活交通に係る補助制度を抜本的に見直し,総合的な支援を行っているところでございます。

 新年度からは,さらに,生活交通の再編を進める市町に対し,デマンド交通などの導入にあたり,実証運行経費を助成するなど,支援を拡大することといたしました。

 今後とも,生活交通の確保につきましては,地域の実態や事業者の動向を注視しながら,市町と連携した適切な対応を行って参る所存でございます。

9 林業振興対策について
1) 緑資源幹線林道の整備について

 担当部局: 農林水産部 答弁者:  農林水産部長
問:
 
昨年,談合事件で揺れた独立行政法人緑資源機構が,広島県内でも緑資源幹線林道の整備を行っている。事件を受け,政府は今年度一杯での緑資源機構の廃止方針を打ち出している。建設途中の緑資源幹線林道整備については,道県にその事業の継続廃止の判断も含め,事業実施主体を移管するという方針も同時に示されている。広島県として,この緑資源幹線林道整備について,今後どうしていく方針なのか,伺う。
答:
 緑資源幹線林道事業については,広域的な見地から国の施策として進められてきており,国の責任において継続実施すべきであると,要請してきたところでございます。

 しかしながら,緑資源機構の廃止に伴い,国庫補助事業へ移行となったことは,誠に遺憾であると考えております。

 平成20年度は,緑資源機構からの引継ぎに係る様々な調整を国などと行うこととしており,県といたしましては,平成21年度からの工事実施について,関係市町の要望や,森林整備の推進,地域活性化などの観点を踏まえ,検討して参りたいと考えております。
2) 県産材の利用促進について
 担当部局: 農林水産部 答弁者:  農林水産部長
問:
 
ひろしまの木材供給体制構築事業についてであるが,民間企業と連携しながらの画期的な事業で,広島県の林業振興への貢献のみならず,森林の災害対応力の向上や,CO2の吸収源確保といった,森林が果たす多面的な機能の回復にも大いに貢献するものとして期待しているところである。

 そこで,近年開発された,国産スギとベイマツを組み合わせた「異樹種集成材」を製造するため,広島県産の曲材や低質材を集積供給していくとのことであるが,年間どれくらいの広島県産の曲材などが集積供給される計画なのか。また,このことにより,林業が活性化するだけでなく,森林の公益的機能の維持・増進に役立つ間伐を,年間ベースでどのくらい実施することになるのか,伺う。

 さらに,広島県産材の普及という面では,直材の集積供給も重要な課題である。県産材の認証制度を充実させて,最終消費者にある程度のメリットを与えるといった優遇策も含め,県産材の利用促進といった面も考慮する必要があると考えるが,この点についての検討状況について,併せて伺う。
答:
 平成20年度,県営大朝工業団地内に県が支援して整備される県産材の集出荷販売施設においては,間伐材を中心に,5年後の平成24年度には,約10万立方メートルを,併設される製材工場へ供給する計画となっております。

 このため,県内で,年間約2千4百ヘクタールの利用間伐を計画的に実施する必要があるものと考えております。

 また,県産材の認証制度などを活用して民間金融機関と連携し,県産材を使用した住宅融資に優遇等が受けられる仕組みを創設することといたしております。

 こうした取組みを通じ,県産材の利用促進を図るとともに,森林の持つ公益的機能の維持・発揮に努めて参りたいと考えております。
 

10 教育行政の推進について
1) 非常勤講師の配置について

 担当部局: 教育委員会 答弁者:  教育長
問:
 文部科学省の予算内示で,「子どもと向き合う時間を拡充するため,各都道府県が退職教員や経験豊かな社会人等を,学校に非常勤講師として配置する場合に,事業費の3分の1を補助する」という外部人材活用の政策スキームが示された。

 「学校現場は,運営管理機能の強化等により,煩雑な事務作業が増え,先生が子どもたちと接する時間が少なくなっている」という認識は,我が会派の認識とも一致しており,昨年末以来の平成20年度予算編成に対する政調活動を通じて,我が会派は一貫して,全国枠7千人のこの制度を利用して,非常勤講師を県内に配置すべきだと主張してきた。
 このことについて,どのように判断し,来年度予算に反映したのか,伺う。
答:
 平成20年度政府予算案におきまして,学校に週12時間勤務する非常勤講師7,000人,すなわち週  40時間勤務の常勤職員に換算しますと,全国で約1,800人分の外部人材を活用する事業が盛り込まれたところでございます。

 教育委員会といたしましては,この事業を受け,児童の豊かな心と健やかな体を育成するために外部人材を活用することとし,30人分の予算を計上しているところでございます。

 具体的には,県内の小学校に経験豊かな人材を非常勤講師として配置し,音楽・図画工作・体育等の授業において専門的な指導を行うことにより,芸術好きな児童や進んで体力つくりに励む児童の育成に努めて参りたいと考えております。

2) 特別支援学校への介助職員の配置について

 担当部局: 教育委員会 答弁者:  教育長
問:
 
広島南特別支援学校は,平成19年5月1日現在,幼稚部から高等部まで,生徒数85名,教職員75名,非常勤職員16名,学級数が26学級ある。

 見ただけでは健常者の授業とほとんど変わらず,特に数学などは,板書された方程式が言語と一緒であるため,言葉はそれほど必要ないのだと感じた。進度別・習熟度別に少人数で授業を行っているが,普通校と同じく,生徒の間に差が生じるのはしょうがないと感じた。ただ,伸びる子をもっと伸ばしてほしい,遅れた子にもしっかりケアをしてほしい,そのためには手話によるコミュニケーションも必要なのではと感じている。

 先日,文部科学省特別支援教育課に対し,介助職員等の交付税措置について問い合わせたところ,「地方交付税では,特別支援学校の介助職員等の配置に係る経費が措置されている。その積算基礎は,特別支援学校の学級数350学級に対して,介助職員等は36人が標準である。したがって,この積算上の標準に基づき,障害種別にかかわらず,実際の特別支援学校の学級数に対して措置されている」との回答があった。

 つまり,広島南特別支援学校の場合,26学級であるから,介助職員等は2名配置するよう交付税措置されているということになる。しかし実際,ゼロであることは問題ではないかと思うし,保護者からも要望が出ている。
 県内の特別支援学校における介助職員の配置の実態と今後の方針について,さらには広島南特別支援学校への配置について,教育長に伺う。

答:
 介助員は,学校において,介助を必要とする児童生徒の介添えに関する業務に従事する職員であり,具体的には,校内における移動の支援や用便時における一連の支援等の業務を行うものであります。

 本年度においては,児童生徒の状況等を踏まえ,県内の特別支援学校12校に,計21人の介助員を配置しているところであります。

 今後とも,各学校の実情等を踏まえ,適切な配置に努めて参りたいと考えております。

 なお,広島南特別支援学校につきましては,現在の児童生徒の状況等から,介助員を配置していないところでございますが,今後とも,当該校における児童生徒への支援の必要性を見極めつつ,具体の状況に応じて検討して参りたいと考えております。

11 交通問題への対応について

 担当部局: 警察本部 答弁者:  警察本部長
問:
 先週の金曜日,南区に大型のショッピングセンターがオープンした。約4万uの店舗面積で,連日,付近では大変な渋滞が発生し,住民生活に大きな影響を与えた。

 こうした大規模小売店舗は,平成12年6月の法律改正に伴い,郊外型のロードサイド店から中心市街地への立地の道が開かれ,急速に広島都心部や周辺都市圏へ立地が進んでいる。

 既に出店計画書が提出され,年内に開店予定で店舗面積が5,000u以上のものだけでも,7店舗にの  ぼっている。

 これらの地域でも,同様の問題が発生することは当然予想されるし,渋滞だけでなく,早朝・夜間,あるいは悪天候時の事故の心配も高まる。

 さらに,来年には,新球場のオープン,広島駅南口・北口の再開発も進んでくると思われることから,道路整備を急ぐ必要があることはもちろんだが,当面は効率的な交通規制によって,住民生活への影響を最小限に抑え,事故防止に最善を尽くす必要がある。

 そこで,こうした都市部へ大規模小売店舗が立地し,交通問題が大きな課題になっている現状を,基本的にどのように捉えているのか。

 さらに,住民からの渋滞緩和の要望や,事故防止対策等について,具体的にどう対応されていく方針なのか,警察本部長に伺う。
答:
 大型商業施設の出店や市街地再開発などが行われますと,この周辺の交通量が大幅に増大し,交差点や路上で交通渋滞が発生するなど,多大な影響を及ぼすことが懸念されますので,これらの課題に対応することは大変重要であると認識しております。

 警察としましては,計画段階から関係機関との協議の中で,道路管理者に対しましては,歩道整備や交差点改良の要請を行い,事業者に対しましては,案内板の設置や安全と円滑な流出入に配意した駐車場の設置,防犯への配慮,営業時における自主交通整理員の配置などの要請を行っているところであります。

 また,警察独自といたしましては,信号機や横断歩道の新設をはじめ,所要の交通規制等を実施しております。

 さらに,開店後におきましても,交通実態や地域の方々の要望を踏まえて,交通規制の見直しを行うとともに,施設周辺住民に対します安全指導や街頭指導取締りを実施し,交通事故防止に万全を図って参りたいと考えております。